UWB屋内測位の運用支援システム
February 10, 2026

UWB屋内測位の運用支援システムに関する研究
2026年度の卒論発表会(CDS)にて発表した研究です。UWB(Ultra-Wideband)を使った屋内測位システムの「設置や運用が難しい」という課題を解決するためのシステムを開発しました。
そもそもUWB屋内測位って何?
UWB(Ultra-Wideband) とは、非常に広い周波数帯域を使う無線通信技術です。この技術を使うと、数十cm単位の高精度で屋内の位置を測定できます。
GPSは屋内では使えませんが、UWBを使えば建物の中でも正確に位置を把握できます。工場での作業員の動線管理、展示場での来場者の追跡、オフィスでの人の位置把握など、さまざまな場面で活用が期待されています。
何が課題だったのか?
従来のUWB測位システムには 3つの大きな課題 がありました。
1. 設置が複雑
- 各アンテナを有線で接続する必要がある
- 配線ルートに強く依存し、壁を超えた配置が困難
2. インフラへの依存
- ネットワーク・電源環境が必須
- 一時的な利用(イベント会場など)では使いにくい
3. アンテナの設定が難しい
- 専用ソフトウェア(PC)での設定が必要
- 専門知識がないと操作が困難
どう解決したのか?
スマートフォンとアンテナの融合
UWBアンテナ(村田製作所 Type 2BP)にスマートフォンをUSBで接続することで、以下を実現しました。
- 無線通信:スマートフォンのWi-Fi/BLEを利用して、有線ネットワーク不要に
- 電源供給:スマートフォンから給電するため、外部電源が不要に
- 簡単設定:専用PCの代わりにスマートフォンのアプリで設定可能に
タブレット(iPad)で一元管理
iPadアプリで、設置から計測まですべての操作を統合的に管理できます。
システムの利用手順
6つのステップで誰でも簡単に屋内測位を始められます。
- フロアマップの登録 - 測位したい場所の地図をiPadに取り込む
- アンテナ位置の設定 - 地図上でアンテナの位置をドラッグ&ドロップで設定
- アンテナの設置 - 実際にアンテナを設置(スマートフォンから給電するので電源不要)
- ペアリング - アンテナとタブレットを無線でペアリング
- キャリブレーション - 正解座標を指定して測位精度を向上
- 屋内測位を開始 - リアルタイムで位置をフロアマップ上に表示
評価実験の結果
愛知工業大学で4人の被験者による評価実験を実施しました。
- 平均25分で設置から運用まで完了
- キャリブレーション以外は各3分程度で設定完了
- アンケートでは「使いやすい」「かなり使いやすい」の評価が多数
- 軌跡データの補正後、円形誤差0.4mの精度を達成
今後の課題
- キャリブレーション精度とスピードのさらなる向上
- 複数階をまたがった環境での動作対応
- セルラー通信を使用したシステムの検討
発表資料
卒論発表会のスライドと、情報処理学会研究報告の論文を以下からご覧いただけます。